オーストラリアでのワーキングホリデー。期待に胸を膨らませて到着したものの、最初にぶつかる大きな壁が「仕事探し」です。 レジュメを何枚配っても返信が来ない、銀行残高だけが減っていく……。そんな時、私たちの強い味方になってくれるのが、誰でも簡単に始められるフードデリバリーサービスです。
私はアデレードへ滞在中、本職の仕事終わりの帰り道や、土日の空いた時間を使ってUber Eats(ウーバーイーツ)の配達員をしていました。 「アデレードは人口が少ないから稼げないのでは?」 「車での配達って実際どうなの?」 そんな疑問に、私の体験談をもとに徹底解説します。
1. フードデリバリーサービスとは?
そもそも、フードデリバリーがどのような仕事なのか、簡単に整理しておきましょう。
基本的には、「配達員」として「エンドユーザー(注文者)」と「飲食店」をつなぐ橋渡し役で、飲食店に代わり商品をデリバリーすることで、対価として報酬を得る仕組みになっています。

この仕事の最大の魅力は、なんといっても「究極の自由」にあります。
シフトに縛られることもなければ、うるさい上司もいません。アプリを「Go(オンライン)」にすればその瞬間から仕事が始まり、疲れたらオフラインにするだけでいつでも終了できます。
現在、オーストラリアでは Uber Eats のほか、DoorDash や Menulog といったサービスが主要なプラットフォームとして普及しています。効率よく稼ぐためには、一つのアプリに絞らず複数のアプリを同時起動(併用)し、それぞれのオーダー状況やキャンペーンに合わせて賢く稼働するのがコツです。
2. 登録方法と必要な書類
「よし、Uber Eatsの配達員をやってみよう!」と思ったら、まずはアカウント登録からスタートです。2026年現在、オーストラリアではギグワーク(単発の仕事)に対する規制が以前よりも厳格化されています。スムーズに承認されるよう、以下の書類を早めに準備しておきましょう。
必須書類リスト
パスポート:本人確認の基本です。
VEVO(就労権利の確認):ワーホリビザで就労可能であることを証明します。
ABN(Australian Business Number): Uberの配達員は「従業員」ではなく「個人事業主」扱いです。そのため、この納税番号が必須になります。オンラインで無料で取得できます。
オーストラリアの運転免許証: 車やバイクで配達する場合に必要。日本の免許からの書き換えを済ませておくとスムーズです。
Police Check(無犯罪証明書): Uberのアプリ内から申請できますが、結果が出るまで1週間ほどかかる場合があるため、渡航後すぐに手続きするのが吉です。有料ですが、仕事が始ればすぐにペイできます。
3. 実践:仕事のリアルな流れ
アカウント作成後、書類の審査やバックグラウンドチェックの完了までには通常約1〜2週間(最大14営業日程度)かかります。無事に承認されたら、いよいよ配達パートナーとしての実践スタートです。
オーストラリアのUber Eatsでは、食品の品質と安全を維持するため、すべての配達員に断熱機能付きの配達バッグ(Insulated Bag)の使用が義務付けられているため、配達用バッグは必須アイテムです。Uberのロゴ入りである必要はないため、今すぐに配達員として稼ぎたい人はWoolworthやColesで売られている安価な保温バッグを一時的に利用するのも一つの手です。
飲食店によっては、バッグを持っていないと受け取りを拒否されるため、必ず準備しましょう。
① アプリをひらき配達開始(Go)
配達を始めたい自分の好きなタイミングでアプリを起動します。画面下部の「Go」ボタンをタップしてオンラインにすれば、いつでもリクエストを受けられる状態になります。

配達中は常にGPSで位置情報を共有し、ナビを使用するため、スマートフォンのバッテリー消費が非常に激しいです。途中で電池が切れると配達が完了できなくなるため、モバイルバッテリーは必須アイテムとして準備しておきましょう。
② オーダーが入るまで待機
基本的にはオンライン(Go)の状態にして、リクエストが届くのを待ちます。
郊外など、場所によってはすぐにオーダーが来ない場合もあります。そんな時は、ただじっと待つよりも、飲食店が密集しているショッピングセンター周辺や、マクドナルド・Hungry Jack’sなどの人気チェーン店があるエリアへ少し移動してみるのがコツです。
また、効率よく稼ぐためには「ピークタイム」を意識することが非常に重要です。
ランチタイム(11:30 ~ 14:00頃):オフィスの昼休みや、家でのランチ需要が高まります。
ディナータイム(17:30 ~ 21:00頃):1日で最もオーダーが集中する時間帯です。
週末(金・土・日の夜):アデレードでも多くの人がデリバリーを利用するため、待ち時間なく次々とオーダーが入る「数珠る(じゅずる)」状態になりやすいです。
さらに、雨の日などの悪天候時は外出を控える人が増えるため、オーダーが急増します。安全運転に十分注意しつつ、こうした稼ぎ時を狙うことで、短時間でも効率的にお小遣いを稼ぐことができます。
③ 受注し店舗へ向かう
スマホが鳴り、画面にオーダーが表示されたらいよいよ受注です。 画面には「飲食店名」「報酬予定額」「現在地から配達先までの総距離」が表示されます。

受注の判断ポイントとして、 配達距離が長ければその分報酬は増えますが、あまりに遠くへ行くと、次のオーダーが鳴りやすい人気エリアへ戻るのに時間がかかってしまうこともあります。「今の報酬額で、その距離を走る価値があるか」を瞬時に判断してタップしましょう。
受注後は、アプリに表示されるナビを参考に飲食店へ向かいます。アデレードの郊外店なら駐車場が広く、駐車スペースに困ることはまずありません。この「ピックアップのしやすさ」は、車配達における郊外ならではの大きなメリットです。
④ 商品を受け取る(ピックアップ)
店舗に到着したら、店内カウンターでUberの注文番号(3〜5桁の英数字)とエンドユーザー名を伝えます。
夜間のマクドナルドなど、店舗によってはドライブスルーでの受け取りが指定されることもあります。アプリに商品の受け取り方法が記載されているため、駐車場で確認してから商品を受け取りに向かいましょう。
保温バッグを持っていないと受け取りを拒否される店舗もあります。必ずバッグを持って店内に入り、商品の型崩れがないよう丁寧に収納しましょう。
受け取りが完了したら、アプリの「配達を開始する」をスワイプして、次はいよいよエンドユーザー(注文者)の元へ向かいます。
⑤ 配達先へ向かい、商品を届ける
受け取り後は、アプリのナビに従って、お客様の元へ車を走らせます。夜間は交通量が少なく運転しやすいですが、番地が見えにくいこともあるため、アプリ内の地図と建物の番号をよく照らし合わせましょう。
配達方法は大きく分けて2種類あります。
玄関先に置く(Leave at door): 指定された場所に商品を置き、アプリで写真を撮って完了。非対面なのでスムーズです。
手渡し(Meet at door): お客様に直接手渡します。笑顔で「Enjoy your meal!」など一言添えるのが、高評価に繋がるコツです。
商品を手渡す際に、4桁の番号を求められることもあるため、その際はエンドユーザーに確認しましょう。
無事に届け終えたら、アプリの「配達完了」をタップ。これで1件の仕事がすべて終了し、即座に報酬がアカウントに反映されます!
4. 【体験談】アデレード×車配達の「本音」と「コツ」
私は専業ではなく、あくまで「副業・お小遣い稼ぎ」としてUber Eatsを活用していました。実際にやってみて分かった、アデレードならではのリアルをお伝えします。
①車での配達が「夜中」だった理由
私のスタイルは、本業が終わる22時~24時頃から1〜2時間ほどサクッと稼働し、土日の暇な時間に好きな音楽をかけながらアデレードをドライブがてら配達するというものでした。
深夜に配達して感じたメリットがいくつかあります。
渋滞ゼロでストレスフリー: 日中のシティ周辺は混雑しますが、深夜なら道はガラガラ。信号待ちも少なく、ナビの予定時間よりも早く着くことが多いです。
駐車場の確保が容易: 飲食店(マクドナルドなど)や配達先の住宅前でも、夜間なら駐車スペースに困ることはまずありません。
「ついで」に稼ぐ: 職場から自宅へ帰るルート上でオーダーを取るようにすれば、ガソリン代を浮かせつつプラスアルファの収入になります。
デメリットとしては、深夜帯がクエストの対象時間外だったため、稼げるとは言えませんでしたが、それでも、週に数百ドルの「ガソリン代+お小遣い」が手に入る生活は、精神的にも非常に良いリフレッシュになりました。

② 稼ぎを最大化する「クエスト」の重要性
アデレードで賢く稼ぐために絶対に外せないのが、Uberの「クエスト」と呼ばれるボーナス制度です。
これは、例えば「時間内に既定回数の配達を完了すると、追加で15ドル支給」といった、特定の条件をクリアすることで得られるインセンティブのことです。
正直なところ、アデレードはシドニーやメルボルンのような大都市に比べると、爆発的なオーダー数があるわけではありません。そのため、ただダラダラとオンラインにするのではなく、このクエストが発生している時間帯をピンポイントで狙って稼働するかどうかが、最終的な時給換算を大きく左右します。
クエストはアプリ内の「プロモーション」欄に事前に表示されます。夕方や週末といったピーク時は、高額なクエストが発生しやすい絶好のチャンスです。
目標設定のコツとして、「あと1件でクエスト達成!」という時は、多少距離が遠いオーダーでも受ける価値があります。逆にクエストがない時間は、無理に遠出せず効率重視で立ち回るなど、メリハリをつけるのが稼ぎ方です。
私自身も、プロモーションを確認して「今日はクエストの内容が良いな」という日は、優先的にハンドルを握るようにしていました。
ある日曜日、約3時間の稼働で計9件の配達を完了したのですが、この時はクエストの条件をクリアし、通常の報酬に加えて追加で$38のボーナスを得ることができました。

③副業としての1週間の収支イメージ
クエストやピークタイムを意識して、実際に私がアデレードで「1週間、副業として稼働した際」の収支バランスをまとめました。
月曜日から土曜日はフルタイムで働きつつ、仕事終わりの1〜2時間と休日を活用することで、以下のような副収入を得ることができていました。

本業で週に約$1,500稼ぎ、隙間時間に副業として約$250稼いでいたため、ゆとりのある生活を送ることができていました。
都市部に比べると「アデレードは稼げない」という声を聞くこともありますが、このように「ピークタイム」と「クエスト」を賢く活用すれば、副業としては十分すぎるほどのリターンが得られます。
④一度中断を決意した理由:ガソリン代と世界情勢
非常に気に入っていたUber生活でしたが、活動を中断するきっかけがありました。それは、中東情勢の影響によるガソリン代の急激な高騰です。

当時、アデレードでもガソリン価格がリッター2ドルを超えるような状況が続き、車で配達をしていた私にとっては大きな影響を与えました。
配達報酬から高騰したガソリン代を差し引くと、労働に対するメリットが極めて少ないことに気づいてしまったのです。「これでは車を消耗させているだけだ」と痛感しました。
この経験から、もし車でガッツリ稼ごうと考えているなら、ハイブリッド車のような燃費の良い車を選ぶか、あるいはガソリン価格が安定している時期やクエストが厚い時間を狙い撃ちすることが、長く続けるための鉄則だと痛感しました。
⑤安全面と罰金への注意
最後に、車で配達をする上で絶対に忘れてはいけないのが交通ルールの遵守です。オーストラリア、特に南オーストラリア州(アデレード)の取り締まりは非常に厳しく、日本と同じ感覚でいると思わぬ高額罰金に見舞われることがあります。
「1件数百円の報酬」のために「数万円の罰金」を払うことになっては本末転倒です。副業の利益が一瞬で吹き飛ぶだけでなく、最悪の場合は免許停止で仕事ができなくなるリスクもあります。
早く届ければ確かに効率は上がりますが、事故のリスクも隣り合わせです。
常に「安全運転こそが一番の稼ぎ方」だと心得て、無理のない範囲でハンドルを握りましょう。
安全に1日を終えることが、副業を長く続けるための絶対条件です。
5. タックスリターン(税金)の注意点
ワーホリ勢が一番気をつけなければならない点です。 UberEatsの報酬は、所得税が引かれる前の「額面」で入金されます。 「稼いだ!やった!」と全部使ってしまうと、年度末のタックスリターン(確定申告)で数千ドルの税金請求が来て青ざめることになります。
個人事業主としていくら稼いだかを把握するのと合わせて、常に20〜30%程度を「税金用」として別口座に避けておくことを強くおすすめします。これは「後悔しないワーホリ」のための鉄則です。
合わせて、車での配達は、「ガソリン代」「車の維持費」「通信費の一部」などの費用は経費としてタックスリターンで計上することが可能です。
「後でまとめてやればいい」と思わず、領収書(レシート)は必ず保管するか、アプリなどで記録しておきましょう。「稼ぐ力」と同じくらい「守る力(税金対策)」が重要なのが、オーストラリアでの個人事業主としての働き方です。
6. まとめ:仕事が難航している時こそ、外に出よう
「レジュメを配っても連絡が来ない」「自分は社会に必要とされていないのでは?」 仕事探しが長引くと、どうしてもネガティブな思考に陥りがちです。
そんな時、Uber Eatsはあなたに「自分の力で1ドルを稼ぐ成功体験」を即座に与えてくれます。 家でパソコンの画面を見つめて不安になるくらいなら、まずはABNを取って、街に出てみませんか?
アデレードの穏やかな風を感じながら車を走らせれば、新しい仕事のアイディアが浮かぶかもしれません。何もしないよりは、少しでも収入に繋げる。その一歩が、あなたのワーホリ生活を大きく変えるはずです。



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