オーストラリアのインフラを支える建設資材工場。高時給の中で働いた体験談

仕事

稼げる仕事」として知られるグレインファームの収穫シーズンが終了し、次なる就職先を探す必要がありました。当時は家の契約もしていなかったため、このまま休暇を兼ねて旅行に出ることも検討していましたが、幸いにも同じ職場で働いていたインドネシア人の知人から有力な情報をもらいました。

建設資材の製造工場で面接の機会を得たよ。まだ人手不足のようだから、一度応募してみてはどうかな?

詳しい話を聞き、紹介してもらった連絡先に履歴書をメールしたところ、無事に面接のアポイントメントを取り付けることができました。

1. 面接の様子とスピード採用

面接会場に到着してまず驚いたのは、参加者の顔ぶれでした。私を含めて8名ほどが集まっていましたが、そのほとんどがインドネシア人。彼らは私と同様にグレインファームの収穫シーズンを終えたばかりとのことで、彼らのコミュニティの結束力の強さを改めて実感する場面でもありました。

最初に担当者から業務の概要説明がありました。内容は、橋や道路といったオーストラリアの公共インフラを支える巨大な建設資材を製造する工場での勤務です。現在控えている大型プロジェクトを完遂させるため、即戦力となる人員を募集しているとのことでした。

面接自体は非常にフレンドリーな雰囲気で進み、出身地やオーストラリアでの滞在期間、これまでの職務経歴などを詳しく聞かれました。特に印象的だったのは、稼働時期についての質問です。「いつから働けるか?」という問いに対し、迷わず「今日からでも可能です」と回答しました。この意欲的な姿勢が評価されたのか、面接後すぐに届いたメールには、翌日からのシフトが記されていました。

応募から採用決定まで約1週間。オーストラリアらしいスピード感のある展開に驚きつつも、無事に次の仕事が決まったことに大きな安堵感を覚えました。

2. 【給与公開】時給.87、手取り週00の好待遇

面接では「午前・午後どちらのシフトでも対応可能」と伝えていましたが、実際に配属されたのは午後シフト(Afternoon Shift)でした。この配属が、結果として非常に幸運なものとなりました。

具体的な勤務条件と給与体系は以下の通りです。

  • 時給:$35.87(ペナルティレート込み)

  • 勤務形態:月曜〜土曜(週6日)、1日8時間勤務

  • 手取り:週$1200〜$1500

直前までグレインファームで集中して稼いでいたこともあり、実は今回の仕事探しでは給料面を最優先にはしていませんでした。しかし、蓋を開けてみれば時給の高さに加え、安定した労働時間が確保されており、予想を大きく上回る好待遇を受けることになりました。

また、労働環境面では、私が担当した午後シフトは、午前中のシフトに比べて現場のマネージャーが穏やかで、作業に対するプレッシャーもそれほど強くありませんでした。

これまでにオーストラリアでいくつかのファクトリーを経験してきましたが、「高時給でありながら精神的な負担が少ない」という、まさに理想的な職場環境と言えるものでした。

3. 仕事内容は設計図に基づく精密な組み立てと成形

プロダクションワーカーとしての具体的な仕事は、設計図に従って材料を配置していく「組み立て」から始まります。

主な素材は、「ブロック」と呼ばれる発泡スチロールにファイバーガラスをあらかじめ巻き付けたものと、裁断された大きなファイバーガラス繊維の2種類です。これらをパズルのように正確な位置へ配置していく作業がメインとなります。

工程の核心部分は、配置し終えたファイバーガラス繊維に特殊な化学薬品を投入し、硬化させるプロセスです。これにより、バラバラだった素材が強固に結合され、一つの巨大な建設資材へと姿を変えます。

こうして工場内で成形された一次製品は、その後、仕上げ作業を行う別のサイトへと移動されます。そこでさらに細かい加工を施すことで、最終的なインフラ資材として完成に至るという流れでした。
このサイトでの仕事は順調でしたが、プロジェクトの進展とともに状況が変わっていきました。

4. 目に見えない敵「ファイバー繊維」との闘い

精神的なプレッシャーも少なく、「良い仕事に就けた」と喜んでいたのも束の間、この職場には思わぬ「代償」が待っていました。それが、主要素材であるファイバーガラス(ガラス繊維)による強烈なチクチク感です。

目に見えないほど細かなガラス繊維が作業中に服を突き抜け、皮膚の至る所に刺さります。働き始めて数日は、夜ベッドに入ってからも悲劇が続きました。寝返りを打つたびに足の甲や裏、膝などに鋭い痛みが走り、まともに眠ることさえできないほど辛い思いをしたのです。

このままでは続けられないと感じ、現場の同僚たちにどう対処しているのかをリサーチしました。そこで教わった「3つの防衛策」を実践したところ、状況を劇的に改善することができました。

①靴下の2枚履き:物理的な厚みを増して、繊維の到達を防ぎます。

②ビニール袋の活用:靴下の上からビニール袋を履き、その上から作業靴を履くことで、繊維の侵入を完全にシャットアウトします。

③帰宅直後の冷水シャワー:お湯を浴びると毛穴が開いて繊維が奥に入り込んでしまうため、まずは冷水で表面の繊維をしっかり洗い流すのが鉄則です。

この「知恵」のおかげで、ようやく仕事に集中できる環境を整えることができました。

5. 別のサイトへの異動と新たな作業

プロジェクトが終盤に差し掛かり、それまで働いていたサイトでの業務が少なくなってきたため、私は別の作業サイトへと異動することになりました。

異動して当初は、製品のペイント作業や、アセトンやカトリン(硬化剤)を混ぜたファイバーガラスでの手作業による補修(リペア)を担当していました。

しかし、工程が進むにつれて、電動工具のグラインダーを使い、表面をフラットに整える「研磨作業」に従事することになったのです。

当然、これまでグラインダーなど使った経験はありません。未経験ながら、巨大な資材を相手に黙々と削り続ける日々が始まりました。

グラインダーを回した瞬間、周囲の視界は真っ白な粉塵に包まれます。この微細な粉には鋭いファイバーガラスの繊維が含まれており、防塵マスクをしていても顔の皮膚に刺さってチクチクとした痛みに襲われます。さらに、1日8時間近くも振動の激しいグラインダーを握り続けるため、作業が終わる頃には手の感覚がなくなるほどの痛みに見舞われました。

「このまま長く続ければ、確実に健康に支障をきたす」

そう直感した私は、週$1,500の高収入よりも、自分の身体という資産を守ることを優先し、退職を決意しました。

6. まとめ

結局、私は約2ヶ月でこの職場を去ることにしました。

退職の理由はいくつかあります。会社の規模がそれほど大きくなかったためか、マネジメントが十分ではなく、材料の在庫切れで作業が止まってしまうことが頻発していました。その結果、当日急にシフトがカットされるなど、収入面での不安定さも出始めていたのです。

しかし、最大の決め手となったのは、やはり「健康という資産を守るため」でした。

週$1,500という給料は確かに魅力的です。しかし、粉塵や薬品にまみれて働き続け、せっかく稼いだお金が将来の治療費に消えてしまっては、元も子もありません。

オーストラリアの工場バイトは、短期間で爆発的に稼ぐには最高の環境です。ですが、私たちワーホリメーカーが就ける高時給な仕事の多くは、現地のオーストラリア人が敬遠するような過酷な現場が中心であることも事実です。

「稼ぐこと」に熱中するあまり、自分の一番の資本である「健康」を損なってしまっては本末転倒です。これからワーホリへ行く皆さんには、リスクとリターンのバランスを冷静に見極めながら、自分にとって最高のワーホリ生活を送ってほしいと切に願っています。

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