ワーホリでオーストラリアに来る理由は人それぞれですが、「とにかくガッツリ稼ぎたい!」という目的の方も多いのではないでしょうか。
稼げる仕事の代名詞といえばFIFO(鉱山)が有名ですが、それに匹敵する爆発力を秘めているのが今回ご紹介する「グレインファームジョブ(穀物農場)」です。
しかし、「実際、どんな過酷な仕事をするの?」「本当に噂通り稼げるの?」と疑問に思う方も多いはず。
今回の記事では、英語力に自信がなかった私が、実際に現場でどんな業務を担当し、最終的にいくら稼げたのか。そのリアルすぎる全貌を、包み隠さず大公開します。
なお、気になる「採用プロセス」については、以下の記事で詳しく解説しています。
これから挑戦しようと思っている方は、まずはこちらをチェックしてみてください。
ワーホリ必見! 英語力・コネなしで採用された大手グレインファームの選考過程を大公開
1. グレインファームってなに?
「グレイン(Grain)」とは穀物のこと。オーストラリアの広大な大地で収穫された小麦(Wheat)や大麦(Barley)、キャノーラ(Canola)などが、出荷される前に一時的に集められる場所が「グレイン・サイト」です。
イメージとしては、「日本にあるJA(農協)の穀物版」を想像してもらうと分かりやすいかもしれません。農家さんたちが、収穫したばかりの穀物を巨大なトラックに詰め込み、次から次へと集荷センターへ運び込んできます。
運び込まれた穀物の品質をチェックし、巨大な貯蔵庫へ振り分け、管理する。そして時期が来れば、それを送り出す。まさにオーストラリアの農業経済を支える「心臓部」のような場所です。
このグレインサイトを経営する代表的な会社には、GrainCorpやViterraなどいくつか業界大手があり、収穫シーズンが始まる数ヶ月前から一斉に求人が出されます。
全国から膨大な数のワーホリメーカーが「ビザの延長」や「稼ぎ」を目的に応募し、まさに殺到という言葉がふさわしい状況になります。そんな中、経験も英語力も自信がなかった私が、幸運にもこのチャンスを手にすることができたのです。
2. 配属先で決まる運命!それぞれの部署の役割
グレインファームの仕事は、配属されるポジションによって「稼げる金額」も「過酷さ」も異なります。
それぞれのポジションをご紹介します。
①Sampler(サンプラー)
サンプラーとは、グレインサイトの入口にある検査所のことで、運び込まれたグレインの品質をチェックするポジションです。 基本的にはエアコンの効いた室内での作業になりますが、ドライバーや他のスタッフと正確に情報をやり取りするため、それなりの英語力が求められます。
(画像:検査所のイメージ)
②Bunker(バンカー)
バンカーとは、屋外にある広大な集積場のことで、トラックで運び込まれたグレインの荷受けを担当するポジションです。 常に外での作業となるため、オーストラリアの強烈な直射日光を浴びながら長時間働くことになります。日陰が一切なく、体力が必要とされるポジションです。
(画像:バンカーに積み上げられたグレイン)
③Tarp(タープ)
バンカーに積み上げられた巨大なグレインの山に、「タープ」と呼ばれる保護用の巨大シートを被せるポジションです。 グレインの山を登り巨大シートを広げていく作業は重労働。さらに炎天下のタープは高温で危険を伴うため高い集中力と体力が求められます。私の働いたサイトでは、労働時間が一番長いポジションでした。
(画像:グレインの山に登るタープポジションのメンバー)
④Block / Silo(ブロック / サイロ)
巨大なコンクリート格納庫(ブロック)や貯蔵塔(サイロ)に設置されたマシンを操作し、トラックで運び込まれたグレインを流し込んでいくポジションです。 屋根がある場所での作業なので日差しは遮れますが、埃がこもりやすく、全身埃まみれになる覚悟が必要です。私が担当したのもこの部署でした。
(画像:格納庫内のグレイン)
⑤Loader(ローダー)
巨大な重機を操り、グレインを積み上げたり、移動させたりする専門職です。 熟練の運転スキルや実務経験が必要になるため、主に経験者が担当するプロフェッショナルなポジションです。
(画像:重機でグレインを移動させるイメージ)
3. 実際に働いた体験談:埃と無線と掃除の日々
私は「ブロック」と呼ばれる、トラックで運ばれてくるグレインを巨大なコンクリート格納庫に入庫する担当になりました。
(画像:仕事中の風景)
① 絶望の「無線(ラジオ)」聞き取り
仕事は、サンプラーからの無線から始まります。
「Double to 104」(コンテナ2つのトラックで入庫番号は104という意味合い)
無線で聞いた番号に基づいて機械を操作し、トラックがスムーズに荷卸しできるよう準備します。
仕事がスタートして間もない頃はこれが本当に聞き取れませんでした…。突発的に番号が読み上げられ、無線にはノイズも入って音質は悪く、ネイティブ同士の爆速会話が混じります。最初の数日間は本当に聞き取れず何度も聞き返しました。指示を聞き間違えると致命的なミスに繋がるため、英語力が乏しい私にとって最大の壁でした。
② トラック誘導と荷受けの緊張感
トラックが到着後、ラジオで聞き取った番号とチケットの番号が正しいかを確認し、指定の投入口へと誘導します。トラックのコンテナから数トンの穀物が流れ落ちる光景は圧巻ですが、かなり埃が舞います。風向き次第では埃まみれに…。
グレインの品種によっては、チクチクした痒さを伴うので、ボディパウダーを付けるといった対策をして働いていました。基本的には、マシンの数値を見ながらトラックドライバーに指示を出してコンテナの角度を調整するのみなので、メインの役割としては、決してハードなものではありませんでした。
(画像:荷受け中の様子)
(画像:とんでもない量の埃)
(画像:埃まみれの作業服)
③ 仕事の8割は「掃除」
トラックが来ない時間は、ひたすら掃除です。散らばったグレインを箒で綺麗に片づけます。
(画像:散らばったグレインを掃除)
私の場合、やることがない時間が嫌だったので、積極的に掃除をしていました…。
結果的には、「働き者」という良い印象を与えていたようで、グレインシーズン終了と同時に同僚が解雇される中、私が辞めたいというまで約2カ月ほど働き続けることができました。
英語ができなければ、「クビ」になる世界
ここで一つ、厳しい現実をお伝えします。
最低限のコミュニケーションすら取れなかった中国人が、わずか数日でクビになる姿を目の当たりにしました。巨大なトラックや重機のすぐ隣で作業するため、指示が伝わらないことは「危険」に直結すると判断されたからです。
私の英語力も決して高くはありませんが、少なくとも「相手が何を求めているか」を理解できるほどの力は必須だと痛感しました。
また、英語ネイティブのオーストラリア人でさえ、指示に従わなかったり不真面目だったりする人は容赦なく解雇されていました。英語力はもちろんですが、それ以上に「安全に対する意識」と「働く姿勢」が厳しく問われた環境でした。
4. 実際どのくらい稼げた?
お待たせしました。皆さんが一番気になる「お金」の話です。私は11月下旬から1月上旬までの約1.5ヶ月間(実労働日数は35日)働きました。
①驚愕の給与形態
まず、カジュアル契約の時給設定を見てください。
| シフト / 曜日 | 時給(AU$) |
|---|---|
| AM(日中) | $34.74 |
| PM(夕方〜夜) | $39.95 |
| OT(オーバータイム) | $48.64 |
| Saturday(土曜日) | $62.54 |
| Sunday(日曜日) | $76.43 |
上記に加えて、ナイトシフトもありましたが、今回は私が実際に働いたものだけをまとめました。
日曜日の時給は$76……。日本円に換算すると時給7,000円オーバーです。日本では考えられないバブル状態です。
②アコモデーション
会社から宿泊先が提供され、職場から車で10分ほど離れたホテルに滞在しながら働いていました。
正直に言うと、部屋にエアコンがなかったのは、オーストラリアの夏を過ごす上でかなり堪えました…。夜になっても気温が下がらず、寝苦しい思いをした日もあります。
しかし、その分家賃が完全に浮き、通勤時間もわずか10分に短縮されたのは本当に大きかったです。何より、仕事が終わればすぐに同僚たちとリラックスできる環境は最高でした。
慣れない土地での共同生活でしたが、仕事の愚痴を言い合ったり、一緒にご飯を食べたりと、職場の同僚と過ごした日々は今でも鮮明に覚えている大切な思い出です。
(画像:約1カ月滞在したホテル)
③トータル給与
ピーク時は週に75時間ほど働きました。その結果、1ヶ月で手にした給料はトータルで約$9,600(約100万円)。
さらに、会社からアコモデーション(宿)が提供されていたため、生活費はほとんどかかりません。結果として、1ヶ月で約$9,000(約90万円)近くを貯金することができました。
今回のグレインシーズン中に、計35日間働き、トータルで約$12,500ほど稼ぐことができました。
(画像:給与明細)
同僚の話によると、「タープチーム」は週に$3,500近く稼いでいたそうです。しかし、炎天下かつ強風の中グレインの山に登る危険な作業。私は自分の配属された部署の仕事内容にも、この給料にも、十分に満足でした。
まとめ
今回、稼げるで有名なグレインファームジョブで実際に働いた体験談をまとめました。
特別なスキルも無く、英語力も低かった私ですが、運にも恵まれ、無事にハーベストシーズンが終わるまで働き続けることができました。
連日40℃を超える猛暑の日々、大量のハエ、全身埃まみれになる過酷さはもちろんありましたが、そんな大変さを一瞬で吹き飛ばすほどの給料。そして何より、仕事とアコモデーションで共に生活した多国籍な同僚との日々は、何物にも代えがたい経験です。
日本にいたら一生見ることのなかったオーストラリア農業の圧倒的なスケールを肌で感じられたことは、私にとって一生の財産になりました。
(画像:職場から見える美しい夕日)
ありがたいことに、ボスから「来シーズンも働きたい?」と声をかけてもらいました。ワーホリ3年目でビザの期限が迫っていたため、残念ながら断らざるを得ませんでしたが、「もしワーホリ1年目にこの仕事に出会えていたら……」と、本気で悔しい気持ちになったほどです。
グレインジョブを勝ち取るのは、決して簡単ではありません。しかし、応募しなければチャンスは一生ゼロのままです。その年の収穫状況にも左右されますが、一歩踏み出して採用を掴み取れば、そこには想像を超える景色が待っています。
少しでも興味がある人は、是非挑戦してみてください。



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