オーストラリアでのワーキングホリデー。稼げる仕事の代名詞といえば、FIFOやミートファクトリー、ファームジョブが有名ですが、その中でも圧倒的な爆発力を誇る仕事があります。
それが、「グレインファーム(穀物農場)」です。
今回、私は南オーストラリア州(SA州)でグレインのハーベストワーカーとして働くことができました。
「もちろん日本人なんて1人もいない」「そもそも連絡が来ない……。」ほとんどが英語ネイティブスピーカーの環境で、自分自身の「情けない英語力で働けるのか?」が何より不安でした。
この記事では、コネも英語力も無しで、稼げるで有名なグレインファームへ飛び込んだ私のリアルな体験記をお届けします。
1. グレイファームってなに?
グレインファームの仕事内容をざっくり説明すると、農家からトラックで運び込まれる穀物を検査・計量し、巨大なサイロやバンカー(貯蔵庫)に保管する「集荷センター」での仕事になります。
イメージ的には、「日本でいうJA(農協)の穀物版」と考えると分かりやすいかもしれません。
日本と桁違いの広大な農地から集まってくる穀物を、一手に引き受けるハブのような場所です。

扱う穀物の主な種類は以下の通りです。
- 大麦(Barley):ビールや家畜の飼料用。
- 小麦(Wheat):最も一般的で、運び込まれる量も圧倒的。
- キャノーラ(Canola):油の原料で、黄色い花が特徴。
2. グレインのシーズンについて
オーストラリア各地のグレインシーズン
グレインファームの仕事は、地域によってシーズン(収穫時期)が異なります。オーストラリアの広大な大地では、気温の高い北から順に穀物が色づき始めるため、一般的には北から南へと収穫の波が移動していきます。

| 州 | グレインのシーズン |
|---|---|
| QLD(クイーンズランド)州 | 9月頃 〜 11月頃 |
| NSW(ニューサウスウェールズ)州 | 10月頃 〜 12月頃 |
| VIC(ビクトリア)州 | 11月頃 〜 1月頃 |
| SA(南オーストラリア)州 | 11月頃 〜 1月頃 |
| WA(西オーストラリア)州 | 10月頃 〜 1月頃 |
※シーズンは天候や収穫状況によって変動します。
3. 選考のプロセス
①グレインファームへの応募
働いていたミートファクトリーを辞め、次の職場を探している時に、BackPackerJobBoardでグレインファームの求人を目にしました。
すでにサードビザまで取得していたため、ビザ延長のために働く必要はなかったのですが、「とにかく稼げる」という噂を聞いていたので、好奇心半分で応募してみることに。
ここで重要なのが応募のタイミングです。私が滞在していたSA(南オーストラリア)州のシーズンは11月からですが、私が応募したのは9月初旬。大手企業の採用枠は、シーズンが始まる数ヶ月前から埋まり始めます。
「稼げる仕事」としてワーホリ勢の間では超有名なので、応募が殺到し、応募時期が少し遅れるだけで、選考の土俵にすら乗れない可能性が高くなります。
実際、私の友人は9月中旬に応募しましたが、その時点ですでに「応募過多」により選考を通過することはできませんでした。わずか2週間の差が、大きなチャンスを逃す原因になってしまうのです。
②オンラインインタビュー
応募から約2週間後、ようやく次のステップである「オンラインインタビュー(面接)」の案内が届きました。
当日は、私を含めて8名ほどが参加しており、それぞれ1分ほどの自己紹介はあったものの、面接というよりは説明会に近いものでした。
私は、オーストラリアでいわゆる「ファームジョブ」をほとんど経験していなかったため、作業環境や仕事内容について具体的なイメージが全く湧いておらず、正直「未知の世界」という感覚でした。
今回、マネージャーから直接仕事の説明を受けることができたため、仕事内容を正しく理解する非常に良い機会となりました。
③メディカルチェック(健康診断)
オンラインインタビューの翌日、すぐにメディカルチェックの案内が届きました。 指定のクリニックに出向き、「現場で働くための身体的な準備ができているか」を検査・証明するためのステップです。
内容はかなり本格的で、身長・体重といった一般的な項目に加え、以下のようなテストが行われました。
ドラッグ&アルコール検査(尿検査)
聴力・肺機能検査
身体機能テスト(スクワットや実際に重量物を持ち上げる動作の確認)
各項目には会社が定めた「規定値」があり、それを下回ると即不採用になるというプレッシャーがありました。
中でも私が一番苦戦したのが、肺機能検査です。 思い切り息を吐き出す検査なのですが、一度で規定値に届かず、何度も何度もやり直しをする羽目に……。担当のドクターが数値を上げるテクニックを教えてくれたりと協力的だったおかげで、なんとかパスできました。
④ オンライン講習(E-learning)
メディカルチェックをなんとか突破した次は、自宅で受講するオンライン講習(E-learning)が待ち受けていました。
会社概要から始まり、安全ルール、具体的な仕事内容、労働規定など、スライド資料や動画を見ながらインプットしていきます。もちろん内容はすべて英語ですが、オンラインの良さは「自分のペースで翻訳しながら進められる」こと。焦る必要がないので、英語に自信がなくてもプレッシャーを感じずに受講できました。
各セクションの最後には確認テストがあり、しっかり理解して進める必要はありますが、分からない単語を調べながら取り組めば問題ありませんでした。
そして何より驚いたのが、この学習時間にもしっかり「給料(時給)」が発生したということ! 「働き始める前の準備段階で、すでにお金が稼げている……」 この徹底した企業体制に、改めて大手企業の凄さを実感しました。
⑤ 現地講習
最後は、実際に働く現場(サイト)へ出向いての「現地講習」です。 約20名ほどの参加者がいましたが、その8割はローカルのオーストラリア人。残りがアジア系や南米系で、日本人は私一人という完全にアウェーな環境でした。
トータル3時間ほど座学でしたが、内容はオンライン講習の復習がメイン。事前にしっかり受講していたおかげで、英語力が乏しい私でもなんとか内容についていくことはできました。
ただ、ここで苦戦したのが講師の「英語の癖」です。 独特の訛りやスピードに翻弄され、理解するのに必死。周りのオージーがジョークで笑う中、一人だけ話についていけず、引きつった愛想笑いをするしかありませんでした。 「もう3年もオーストラリアにいるのに、なんでこんなに聞き取れないんだ……」 そんな劣等感でメンタルはボロボロ。稼げるとはいえ、こんなネイティブ環境で本当に働けるのか?と、これから始まる現場仕事に対して期待よりも不安が勝っていたのを覚えています。
座学の途中、気分転換も兼ねてサイト内の見学ツアーも行われました。 実際に巨大なサイロや重機、広大な穀物の集積場を目の当たりにすることで、ようやく講習で学んだ知識と自分自身の仕事のイメージが結びつきました。
それにしても、サイト内は想像を絶する広さ。日本とオーストラリアの「農業の規模の違い」をこれでもかと見せつけられた気分です。 圧倒されると同時に、「これから迎える真夏の炎天下、この野ざらしの環境で長時間労働に耐えられるのか……?」という、新たな不安がじわじわと襲ってきたのを今でも鮮明に覚えています。
(写真:サイト内の見学ツアー)
⑥ 待機期間
現地での研修もすべて終え、あとは仕事を待つのみ。ところが、天候の影響で穀物の色づきが遅れ、そこからなんと1ヶ月もの待機期間に突入してしまいました。
当時は別の仕事もしていたので収入面でのダメージはなかったものの、あまりに連絡が来ないので「もしかして、密かにクビになったんじゃ……?」と半分諦めモード。モチベーションを維持するのも難しくなっていた11月中旬、突然サイトマネージャーから一通のメッセージが届きました。
「明日10時にサイトに来れる?」
あんなに待たされたのに、始まりはあまりにも唐突…。でも、その一通でこれまでの不安は吹き飛びました。
期待と不安、そして高揚感が入り混じる中、ようやく私のグレイン生活が幕を開けたのです。
まとめ
ここまで選考プロセスを書いてきましたが、振り返ってみると、これまでオーストラリアで働いてきた会社の中で、ここが一番選考ステップが多かったです。
ただ、全体を振り返ってみて思うのは、私自身が何か特別なスキルを持っていたわけではなく、正直なところ「自分は運が良かっただけ」だとも思っています。
コネがあるわけでもなく、ネイティブの爆速英語に白目をむいていたような私が、数多くの応募者の中から業界最大手の採用を勝ち取ることができた。これは決して、私の英語力や経験が人より優れていたからではありません。
ただ一つ、私が何よりも徹底して意識していたことがあります。 それは、「何事も、誰よりも早く進めること」です。
求人を見つけた瞬間に応募する(わずか2週間の差が命取り!)
案内メールには即レスする
オンライン講習は、案内が来たその日のうちに終わらせる
こうした当たり前の「はやめはやめの行動」が、結果的に「この人はやる気がある」という信頼に繋がり、運を引き寄せたのだと感じています。
「英語ができないから」「ファーム経験がないから」と躊躇している間に、チャンスはどんどん過ぎ去っていきます。もしあなたがグレインファームを目指すなら、まずは準備不足のままでもいいから、誰よりも早く「土俵」に上がること。これが一番の攻略法かもしれません。
さて、数々の不安を抱えながらも無事に採用を勝ち取った私を待ち受けていたのは、想像以上の「給料」でした。
次回の記事では、いよいよ本番! 「実際にどんな仕事をしたのか?」「砂埃舞う現場の実態は?」 そして皆さんが最も気になっているであろう、「一週間でいくら稼げたのか?」という生々しい給与に関しても包み隠さず大公開します!
次回の「グレインジョブ体験談編」も、ぜひ楽しみにしていてください!



コメント